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デクスター/Dexter :: 2-01 :: It's Alive! :: ネタバレ

transデクスター/Dexter。シーズン2のはじまりはじまり。ネタバレ。
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SPOILER!!!
ネタバレです!!!

あの日から39日が経過した。あの日というのは、デクスターが実の兄ブライアン・モサを殺害した日である。あれ以来、デクスターはドークスにつけ回されるようになった。平穏は失われた。デクスターは彼をやりすごしているが、内側からわき起こってくる鈍痛のような不安をどうにか堪えているというようすである。ドークスは確証をつかんでいるわけではないが、自分の直感を信じて朝も夜もぴったり張りついてくる。尾行者の存在をわからせるようにしているのは「心理的に追いつめてやれ」という作戦のようである。ドークスという刑事は科学的な捜査能力は低いが、犯人確保に向かう執念はだれにも負けないというタイプなのでこれはキツい!

どこにいてもドークスの粘着視線を感じつつ、デクスターはマイアミメトロ署の皆さんとボーリングをやったりしてて、一見するとなごやかに過ごしているが、彼の心のバランスは少しづつ狂っていくようである。ギリギリ狭間の臨界点で揺れているというような。

デクスターの悩みはドークスだけではない。あの日以来、デブラは心に傷を負った。婚約者がシリアルキラーだったという超絶体験をしたのだから無理もない。彼女は仕事を休んで一時療養中。デブラはデブラなので表面的にはアハハと笑っているものの、極度の対人恐怖症と孤独感に苛まれている。デクスターのアパートに移ってきて、毎日ランニングマシンをやっている。彼女はいまこそ兄の癒しを必要としているが、デクスターはドークスの陰湿視線のせいで自分の気持ちが平穏じゃないのでなんだか兄妹は間が悪いというかなんというか。

デクスターのストレスは高まり、その内側では殺人衝動がどんどん大きくなる。いつものようにボーリングをやってたら、いいところでガーターミスをしてエンジェルを落胆させた。そしたらドークスの尾行が消えたんで「こりゃまたラッキ〜」と久しぶりにハンティングに出た。相手はジミー・センシオという名の盲目のブードゥー妖術師。この男は報酬を得て人を呪い殺すというビジネスをやっていたのだが、じっさいは毒薬を売っていたらしい。「どうやって殺した?」と問いつめたら「ペトロの精霊が『粉を酒のボトルに入れて渡せ』と私に教えた」と告白した。

相手は盲目であるから簡単すぎる仕事である。久々のウェイクアップトレーニングにはちょうどいいわといつものようにサクッと殺害。解体して海にドボン。あーすっきりしたー。のはずだったのに大失敗!どういうわけだか、殺す直前になって彼はナイフを振り下ろすことができなかった。この瞬間的な情動の変化は謎だが、100%平穏なきもちじゃないと仕事はできないちゅうこと?このとき相手は怪しげなブードゥーの呪いの言葉を吐いていたが、まさかソレが利いたということでもなく、後にデクスターが語ったところによれば「ナイフを振り上げた瞬間、自分がだれだかわからなくなった」そうである。デクスターは相手の拘束を解き「もうわるさはするなよ」みたいなことをいって殺害シーンは終わるんだが、あのオッサンどうなったの?

フラッシュバックでは、若いデクスターが殺人衝動を抑えきれなくなり、ハリィが息子の葛藤を必死になだめるというシーンが描かれた。父息子はイノシシ狩りにでかける約束をしていて、デクスターはものすごく楽しみにしていたが、ハリィの仕事の都合でドタキャン延期された。これは仕方のないことだがデクスターは納得できない。「楽しみにしてたのに!」「がまんしろ!」と口論になる。このときのデクスターの台詞「サイコパスの欲求不満はそりゃもう並大抵じゃなくシンドイんだ!わかってくれ!」というのが生々しくて、妙な説得力がある。英語では "You know that psychopaths like me have a low tolerance for frustration." といっていた。息子にこんなこと言われたら並の親なら卒倒するわな。

その後も父息子の口論はエスカレート。「銃をよこせ」「ノー!」といったらバン!わざと撃ったわけじゃなくて、デクスターが興奮のあまりに引き金から指を離しておくのを忘れていたという不注意の結果であり、ハリィは危うく至近距離から撃たれるところであった。この瞬間にデクスターはハッと冷静になり、ハリィはブッたまげて倒れたが、冷静な警官らしく「射撃するとき以外は引き金に指を置いちゃいけない」とレッスンを与えた。「パパ、だいじょうぶ?」「ヤバかったよ。心臓が飛びだしそうだ」

ここでデクスターは「感じさせてくれ」と頼みごとをする。ハリィは意味がわからなくて「なにを?」と聞く。デクスターは「心臓さ」と答え、ハリィの胸に手を置いてそのドキドキを確かめた。デクスターはエクスタシーを感じたようであり "That's amazing!" - 「これだよ、これ!」とイッちゃってる顔つきになった。これまた並の親なら卒倒モンだと思われるが、ハリィは息子のためにグッとこらえるのであった。デクスターらしいシーンである。サイコパスってこんなふうに感動するものなのかと驚きました。

その後、イノシシ狩りにいけなくて欲求不満を抑えるデクスターはビルの屋上に立ち、両手を広げた。投身自殺するのかと思ったら、ハリィが大慌てで息子を助けた。「バカ、死ぬなんて考えるな!」と叱られたが、デクスターの返答は意外なものだった。「死ぬ?そんなこと考えてないよ。『生きる』ってことを確かめたかっただけだ」という息子の言葉を聞いたハリィはその悲しみを思って抱きしめた。フラッシュバック以上。

マイアミメトロポリス署。デクスターが殺し損ねたブードゥー男のファイルを見ていたらドークスが来たのでササッとPCの画面を切り替えた。そこにはポルノのウェブサイト。それを見たドークスは「おまえは10年間一度もポルノを借りてない」という。個人情報は調査済みと明かすその態度は挑戦的である。デクスターは「プライバシーの侵害である」といってみた。「訴えればいいんじゃないか」といわれた。デクスターは心の中で「もっと簡単なやり方もある」と思った。

デブラが職場復帰した。みんなは笑顔で彼女を出迎え、ヒラ刑事に降格したラグエルタが「ウェルカムバック」といったらデブラは彼女にハグをした。ラグエルタはへんな顔になった。デブラがラグエルタにハグするなんてありえないからである。ラグエルタは「デブラの傷はまだ癒えてない」と直感したが、新任ボスのパスカルは積極的にデブラを現場に出した。またまた殺人事件があったのだ。

殺人現場。港で男の死体が発見された。鋭利な傷はギャングが好んで使う大型ナイフによるものであり、現場にきた被害者の母親の証言から容疑者がすぐにわかった。リトル・チノ(Little Chino)というその男はギャング仲間では有名な凶悪人物で、レスラーみたいな大男である。こわい顔。過去5年間に9件の殺人に関わった疑いがあるが、いずれも起訴をまぬがれていた。証言者が報復を怖れてチビったせいである。だが今度のケースでは悲しみの母親が「ぜったい証言する」といったので、コイツも年貢のおさめ時と思われたが、この母親はヤク中だとわかっちゃったので凶悪リトル・チノは幸運にも釈放された。ヤク中の証言では法廷で使えないからである。

ところで殺人現場ではデブラがヤバかった。彼女はアイストラックキラーの被害者女性として大々的に顔写真が報道されちゃったので、どこにいっても「あ、あなたは!」と声をかけられるようになった。中にはカメラを向ける者もいて、彼女はその度にえぐられるような怒りと悲しみに耐えている。殺人現場で捜査をしていたらまたヤジウマに声をかけられた。彼女はムカムカーとしたが、精一杯のニッコリスマイルをしてやった。ここで問題を起こしたら捜査から外されると考えたのであろう。横で見ていたラグエルタはどきどきした。だが、その後、別のシーンではリタといっしょにビールを飲んでいたときには我慢ができなくなり、寄ってきた男が彼女の肩に手を乗せた瞬間、強烈なヒジテツをかまして相手の鼻を折った。相手が馴れ馴れしすぎるという点もあるが、あれでは過剰防衛になっちゃうだろう。デブラは見知らぬ人に接触されることを極度に怖れているのである。

殺人事件の話に戻ります。リトル・チノはマンマと留置場を出たわけだが、デクスターは次のターゲットを探していたところだったので、これまたラッキーとばかりに食いついた。この前はどうかしてたんだと自分を落ち着かせ、ドークスに見られないように細心の注意を払って、リトル・チノを拉致した。なにしろ大男なので今回は麻酔注射を2本射ってやった。たしかこの薬は馬や牛でもバタンと倒れる劇薬であると以前のエピでマスウカがいってましたよね。いくらレスラーでもこれを2本射たれたらひとたまりもなく、コテンと意識を失った。

前回失敗したブードゥー男の部屋を殺害場所に選んだ。あの男はどうなったのかわからないのだが、とにかく次のターゲットを捕獲したので儀式の準備である。いつものようにサランラップでグルグル巻きにして相手を固定。こんどこそはシリアルキラーの自分を解放させてカタルシスを得るのだ!と思ったら、またまたポカミス!殺害する直前に目を覚ました相手がちから任せに暴れて、拘束を解かれてしまったのだ。ガムテによる拘束が不十分だったらしい。こんな大ボケをかますのはデクスターにとってありえない事態である。ウガーと起き上がったレスラー男と格闘になる。マトモに格闘して勝てるとはとうてい思えないが、相手は劇薬を射たれた直後なのでフラフラ気味だったのだろう。その場から逃走した。顔を見られたかも。ヤバいよ!

2度の失敗に落胆したデクスターはリタの家に向かった。彼女のぬくもりに触れたかったのだ。そしたらリタは号泣していた。「刑務所のポールが死んだ」という。彼女はポールが死んで悲しくて泣いているのではなく、子供たちにどう伝えればよいのかわからなくて泣いているのだ。

ポールは刑務所に入って以来『自分はデクスターにハメられた説』をしつこく主張していた。「おれの靴がリタの家のどっかにあるはずだ!タノムから探して!靴だけ見つけてくれりゃそれでいい!」と何度も訴えていたのだ。リタはシーズンフィナーレでゴミ箱の近くにその靴を発見したが、ポールにナイショにしていた。「暴力男が刑務所に入ったのは自業自得であり、デクスターがわるもんのわけがない」と自分に言い聞かせてきたのである。ポールから聞かれる度に、彼女は「靴なんか知らん」といっていたが、最後に彼と話したときにこういった。「じつをいうと靴はあった。でもそれがなんだというのか。弁護士がこの家にきたら靴は見つからないだろう。わたしはデクスターをこの件に巻き込みたくないし、あなたは自分の罪を他人のせいにすべきでない。あなたが刑務所に入ったのはあなた自身の問題である」とはっきり述べ、ガチャンと電話を切ってやった。ポールは泣きわめいた。その後の死の知らせである。死因は刑務所内でのケンカということだが、恐らく絶望して自暴自棄になり自爆死したものと思われる。

デクスターはデクスターなので彼女を優しく慰める。リタはデクスターを愛しているが、おそらくほんのチョッピリ「もしかして?!」という疑いを捨てきれずにいる。その刺すような痛みを表現するリタの演技が秀逸である。ジュリー・ベンツの演技は大げさすぎて笑っちゃうときが多いが、この数分間のシーンは感動的な凝縮感があって、私の言葉ではとても伝えられないよ。ドラマを見てください。

てわけで、デクスターは2度のハンティングに失敗したばかりかリタの悲しみに触れてプレッシャーは高まるばかりである。そしてこのエピの最後では、さらに追い討ちをかける出来事が彼を待ち構えていたのであった〜!

ヘトヘトになって家に帰ったら、デブラがいて、彼女は大昂奮のようすであり「はやくテレビを見て」といった。マイアミ湾の海底でおびただしい数の死体入りバッグが宝探しダイバーによって発見されたというトップニュース!発見されたバッグの数は30を越え、今後もどんどん増えていく模様!デクスターは大ショック。死体を袋に詰めて海に沈めたのは彼自身なのだから。茫然自失でめまいを覚えるデクスターの横で、デブラは大喜びである。「これはアイストラックキラーどころの騒ぎじゃないヨ!わたしはぜったい犯人を捕まえて自信を取り戻してやる!やったぜ!」なんていう。デクスターは自分のハートビートを聞きながら "It's amazing!" と答えた。

また来週〜。

※感想

スゴい幕開けです。海底にものすごい数の死体袋が並んでいる映像は本当にショッキングでした。海の中にキノコがはえてるみたいだったです。死体袋がエノキダケかエリンギみたいにボコボコと海底にはえてるの!フラッシュバックのシーンもよかったし、リタの演技もよかった。ポールがコテンと死んじゃうというのは少々あっけなく思うものの、かえってそのせいでリタがアレに気づいて追求してきてしまうという流れの予感。それはそれでおもしろそうですから、死んでよかったという気もします。ドラマの主人公がピンチになるほどおもしろくなるってことは、基本的に、人間って他人の不幸を見るのがすきなんだよなーと自分のきもちを分析したりして。

小さなことですが、シーズン2からリタの息子役のコディ君の俳優が変わりましたね。違和感を避けるためか、彼が大きく映らなかった。

あ、エピガイに含めなかったけれど、新ボスのパスカルが男とモメていて、どうやらそいつが浮気したせいらしくて、深夜に男が署にやってきて大ケンカするというのをラグエルタが偶然目撃してしまうというシーンもありました。あんまり関係なさそうなので入れるのを忘れてしまった。仕事一筋の冷血女に見えたパスカルさんにもこういう一面があったというシーンであった。

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  • Title: 2-01 :: It's Alive!
  • First Aired: 2007-09-30

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Guest Star:

Thanks to: imdb.com, tv.com

kenn (2007.10.02 15:04)

amazinな鼓動を聞きながらエンディング。バクバク。いやもうえげつない風景でしたねえ。これを見て、It's alive.と感じるなんて、すげえ。エグい。

リタのスパスパっとタバコを吸いつつ、ボーっと語って、ぐしゃんと泣き崩れる。意外と素直な感じで、普通のドラマみたいだった。でもこの状況でデックスとさらに仲が深まると大変ですね。

リルチノやっつけるのがa mountain to climbなんて言ってましたが、もうこりゃjump off the cliffくらいのヤバさだ。だけど、追い詰められたときのサイコパスほど面白いものはない!って感じです。

Tak (2007.10.04 01:36)

もうこのドラマの虜です(笑
今回の回送のシーンとか俺のツボにはいりまくりでした。
はやく新エピソードが見たくて日常をこなすこのごろです。

tinker (2007.10.04 09:27)

ども。シーズンプレミアなんだけど、まるでフィナーレ近くのような盛り上がり感がありましたよね。いやーまだはじまったばかりだからほんとに楽しみです。 :D

yoko (2007.10.04 21:17)

こんにちは。第1話がSHOWTIMEのサイトで無料配信されていますね。米国内オンリーかと思ったら、日本からの接続でもちゃんと見られました。SHOWTIME太っ腹〜。
海底に散らばる大量の「袋」は、壮観ですた。前シーズンはデクスターがアイストラック・キラーを「追う」話でしたが、今シーズンは彼が「追われる」立場になるのでしょうか。
来週からが楽しみですが、無料公開は今回だけですよね……多分。今シーズンもiTunesに来てくれるだろうと期待していますが。

tinker (2007.10.05 03:09)

あ、そうですか!たしか以前はsho.comはUS onlyにアクセス制限してたと思いましたが、いつのまにか他国にも解放してたんですね。Dexterのシーズン2プレミアはすごいratingがよかったみたいだし、さいきんのshowtimeはHBOと遜色ないくらいにノリノリだし、じつにすばらしい。

トロ (2007.10.08 17:53)

遅ればせながら第一話を視聴しました。
デクスターくんは初回から行き成りピンチですね。
プリズンブレイクの如く、マホーンのように猛者が登場してくれると嬉しいです。

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