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デクスター/Dexter :: 2-04 :: See-Through :: ネタバレ

transデクスター/Dexter。シーズン2の4話。ネタバレ。
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SPOILER ALERT!!!
ネタバレです!!!

ベイ・ハーバー・ブッチャーの捜査が開始されてから3週間。マイアミは記録的な猛暑である。人々はぐったりで、このエピでは「暑いねー」「死んじゃうよー」という会話があちこちで出てくる。それがひとつのクライマックスに突入するわけですが、それはラストに明かされます。

リタの母親がくるっていうんで彼女はいそいそと掃除を始めた。その母親はポールと仲が悪かったのでずいぶんご無沙汰だったが、数年ぶりに娘と孫の顔を見に来るんだという。コディは寝不足である。暑さのせいかと思ったらベイ・ハーバー・ブッチャーが怖くて寝れないんだそうだ。デクスターは子供扱いがうまいので上手になだめた。「ぼくの妹のデブラは警察の秘密ニンジャ兵士なんだけど『ベイ・ハーバー・ブッチャー』は悪い人しか殺さないっていってた。コディは悪い子じゃないから心配しなくていいさ」。リタは「子供を怖がらせるなんていやね!今日捕まればいいのに!」なんていった。こんな調子でベイ・ハーバー・ブッチャーはマイアミじゅうの有名シリアルキラーになっちゃったのであり、デクスターこそがその犯人だっていうことを知るのは私たちと本人のみである。こんな秘密を隠してるのってどんな気分なんでしょう。

デクスターは署に来た。彼はベイ・ハーバー・ブッチャーの担当ではないから捜査会議に参加しない。会議室に入っていく上司たちを見てると不安がこみ上げてくる。いったいなにをしゃべってるんだろう。

捜査会議の部屋の中。ランディは「18人の死体の身元が特定された。そのうち13人に凶悪な犯罪歴があったのであり、なんらかの容疑者だった」と述べた。この結果をプレスに発表するかどうかでマシューズと議論になる。ランディはまだ秘密にしておきたがったが、マシューズの独断で出しちゃうことになった。「被害者は凶悪な犯罪者ばかりだから一般人は安心してください」という台詞をマシューズはマイクの前でしゃべりたいわけだ。このシーンを見てるとどっちがエラいのかよくわからないが、マシューズはFBIと同等の権限を持ってるみたいである。あるいはほんとはランディのほうがえらいんだけど、損得をパパッと計算してマシューズに貸しをつくってやったということかもしれません。

そしたらマスウカがデクスターの隣を駆け抜けていって「こりゃまたBIGな手がかりだ〜」と大喜びのようすで捜査会議に入っていった。デクスターは気が気じゃない!マスウカに足を引っ張られるなんてヤダヨー。泣き顔になった。マスウカがなにをつかんだのか探らなきゃ。その前に落ち着く必要がある。スポンサーに会わなくちゃ。てわけで、ライラに会いにいった。

ライラのアパートを訪ねて初めてわかったのだけど、彼女はガラクタアーティストなのだった。部屋はアトリエになってて、マネキンがゴロゴロあって、彼女は溶接機でガーガーくっつけたりして作品をつくっていた。マネキンが噛みつきあってるように見えるのもあった。「どうして食べあっているの?」と聞いたら「わかんないよ。本人に聞いて」といわれた。ライラは材料を仕入れに行くからついてこいといって、盗みを手伝わされた。公共物のチェーンをつないでるクイみたいなのとか、他人の家の玄関にかけてあるもんとか、ジャンジャカ盗んでこりゃヒデー。

ドロボー稼業が済んでからデクスターは「そろそろスポンサーの仕事してくださいよ」とお願いしてみた。そしたら彼女はしてくれたんだけど、スポンサーになるのは初めてなんだそうである。「でも心配しないでネ。わたしゃこれまで最高のスポンサーに恵まれてきたんだからどうやればいいのかちゃんと知っている」。それってすごく問題人物ってことなんじゃ ... w。

Lila: Why do you use?
Dexter: Why? I don't know. It's just part of who I am.
Lila: And who are you?
Dexter: I'm a ... bad person.
Lila: You haven't got the first idea who you are, have you? Dexter meets Dexter.
Lila: I'm gonna help the two of you get to know each other.
Dexter: That doesn't really seem necessary.
Lila: The first step to recovery is accepting who you are.
Dexter: I thought the first step was admitting you have a problem.
Lila: Before you can accept who you are, you have to know who you are. So that's our first job. You're going to tell me all your deepest, darkest secrets.

というライラの言葉は怖れなくスパッと切り込んでくるトーンがある。「まずは自分を知れ」なんだそうだ。

殺人事件。女性の射殺死体。容疑者は行方不明の夫である。カーティス・バーンズという。ベイ・ハーバー・ブッチャーとは別件であるから、デクスターが呼ばれて、ドークスとラグエルタが捜査する。デクスターは現場検証し、犯人は銃に関して相当の達人であろうと述べた。ドークスは部屋の中に兵士が写った写真を見つけて「これはソマリア、これはアフガニスタンである」と述べ、部屋にはロシア製グレネードがあって、サダム・フセインの宮殿から盗んだダガーまであった。てわけで相手は特殊部隊の兵士であるらしい。こうなると軍経験のあるドークスの専門であるからして、彼はメラメラとヤルキに燃えるのだ。

一方こちらはベイ・ハーバー・ブッチャーの捜査チーム。ランディはチーム全員を仮設モルグテントに連れてきて、身元が分かった犠牲者たちの中で犯罪歴のない者たちの死体を見せた。日頃陰惨な殺人死体を見馴れているはずの警察官たちだが、整然と並んだたくさんの死体を見てウッと顔がこわばる。ランディは「5名いるから好きなのえらんでちょうだい」といいつつ、ひとりひとり紹介した。その5名は犯罪歴がなくてもなにかわるいことをしてたのかもしれないから、そこらへんを徹底的に調べてこいという命令である。

エンジェルはオスカー・ソタという男を調べることにした。「どうしてこんなに切り刻んだんだろう?」と質問してみた。マスウカが「死体を運びやすいようにかな」といったら、デブラが「楽しむためにきまってる」と意見を述べた。デブラがいうと真実味があるな。

ドークスは昔の兵隊仲間を辿って潜伏中のカーティスに近しい人物と接触できることになった。デクスターが検死結果を持ってきて「犯人は1秒で3発の銃弾を極めて正確に発射している。この相手には特に注意をしたほうがよい」と警告した。

という調子で、ベイ・ハーバー・ブッチャーも別件の殺人事件もあって署内は大忙しなわけだが、ボスのパスカルだけがボケボケである。彼女はデクスターを呼び、男物のシャツを持ってきて「オンナの匂いがするから調べてほしい」と命じた。完全テンパッちゃってるみたいだ。デクスターはこれに乗じてマスウカの邪魔をしてやれと思いついた。「えーと、そういう関係はマスウカくんが得意ですねー」と振ってやった。

このシーンでデクスターが「血痕がついてるんですか」と聞いたら、パスカルが「匂いだってば!」と答える。デクスターが "I'm really the blood guy." ていうのがおもしろかった。このドラマの台詞はほんとにおもしろいな。

Anything I can do to over-burden Masuka is to my advantage. Trust me. I'm not above sending pizzas and hookers to his house in the middle of the night.

リタの家。彼女の母親がやってきた。デクスターもディナーに呼ばれて紹介された。キツそうなオバさんだが、デクスターは見ため好青年だし、この種のエイリアンへの対処法は馴れているのだ。「ぼくはマイアミメトロ警察の鑑識で働いていて、あなたの娘さんが大好きです」「グッドアンサーだわね。わたしも娘がすきよ」「あなたは正しく彼女を育てたと思います」「30年の教師経験がありますんでねオホホ」なんて調子でそつなく会話してたら、ベイ・ハーバー・ブッチャーの話題になった。

デクスターがコディに「ベイ・ハーバー・ブッチャーは子供を殺さないからだいじょうぶ」と話して慰めてたら、リタが「早く捕まればいいのに。怖いわ」と述べた。そしたら次にガチガチママが意外なことをいった。「その犯人は犯罪者を殺してるんでしょ。だったらやらせればいいわ。わたしはオッケーよ」なんていうのでデクスターはびっくりした。恋人のママから認めてもらったきぶんだ!じつはぼくなんですとはいえないが。

マイアミメトロ警察。遅い時間にデブラが帰ってきて、犯罪歴のなかった犠牲者のひとりがじつは殺人者であったとランディに報告した。じつは交通事故に見せかけて殺人をしたという秘密を家族から聞きだしたという。いいにくいことをしゃべらせたんだからお手柄である。ランディは褒めた。

デブラが「今日の晩ゴハンはなんにしますか?」と聞く。その調子は毎日残業ワークをしてるんだなという雰囲気なのだが、ランディは「今夜はデートなんだ」と意外なことをいった。彼は仕事のためにマイアミにやってきたのだが、毎日忙しく仕事してるくせにチャッカリデート相手を見つけてたというのは意外な一面である。デブラはホエーと感心した。このオッサン、遊びもするのか。ランディは「君もデートしたほうがいい。気晴らしをして心のバランスを保つのがだいじ」とアドバイスして出ていった。ランディ捜査官はなかなかイイですねー。こんなボスだったらいいなランキングの最上位に入りそうです。

その頃、デクスターはリタの家で夕食を終えたところだったが、リタとふたりでライラの話になった。「スポンサーとはどう?」「それがちょっと変人なんだよね」と聞いたリタは嫉妬メラメラになるが必死で感情を抑えているようである。いきなりキーッということはない。「あら、そうなの?」なんていう。余談ですが、男性側からするとこういう「あらそう」ってのが怖いんだ!失礼。お話にもどります。「彼女がスポンサーになるのはぼくが初めてらしいんだ」と聞いたリタはいてもたってもいられない!「もしかしたら変えたほうがいいかも。もっと年季の入ったスポンサーの方に。男性のほうがいいかも」なんていう。口調は控えめだが頬がワナワナ。はっきり "man" といわずに "manly" なんていう言い方をするのがオタオタ感に満ちている。デクスターはそんな彼女の想いを知ってか知らずか「そうかもね」と答えた。

その頃、デブラはランディのアドバイス通りに男をゲットした。以前ジムで声をかけてきた男を誘っていきなりファック。相手はドギモを抜かれちゃって「まぁ待て。普通はめしを食ったりするんだ」と止めるが、アニマルデブラは止まらない!「ずっとヤッてないのよ!」「どれくらい?」。デブラは一瞬考え込むと手錠を取りだして相手の手を拘束。「わたしを殺そうとした男とヤッて以来だわ」というなり、乗りかかってオーマイガーのアニマルファック。アスリートである(関係ないか)。相手の男はガブリエルという。

デブラはデクスターがリタの家に泊まると思って家に連れ込んだのだが、その日に限ってデクスターが帰ってきた。デクスターはベイ・ハーバー・ブッチャーのことで頭がいっぱいの自分を反省して「こりゃいかんな。ジム狂いのデブラと変わらんぞ」と自分に言い聞かせつつ家に帰ってきて、デブラの部屋の扉を開けた。ウギャー。妹のアレを目撃して「ソーリーソーリー」と退散。デブラは "fuck" しながら "fuck!" といった。ザッツ・マイアミ。

翌朝。気まずい朝の挨拶をする兄妹だが、ここはマイアミである。妹のアレに遭遇しちゃうというアクシデントはそう大したもんでもない。デクスターは「暗くてよく見えなかった」と述べ、デブラは「そのまま忘れてちょうだい」と述べた。デクスターにとってはデブラのアレよりも気になるのが、マスウカの発見である。それについて聞いてみた。それは藻だということであった。マスウカは死体袋の中から特定の種の藻を発見したそうである。「なんだ藻か」と私らは思うわけだが、デクスターもそう思ったんだが、マスウカの説明によれば、ものすごい種類の藻の中からコレが出てきたというのはBIGな手がかりであり、それを科学的に検証すれば犯人が使ってるボートを特定できるかもしれんという。こりゃヤバい。デクスターは「自分はなにかミスをしただろうか」と泣き顔になるのであった。

翌日。マイアミメトロ警察。エンジェルは『犠牲者の中で犯罪者じゃないひと』の過去を洗うために、未亡人に話を聞いているがうまくいかない。「あなたのご主人は生前なにかわるいことをしてましたか」という質問に素直に答える人間は少ないだろうから大変な仕事である。だが、他の捜査官たちはどうやってるのか知らないが、上手に聞き出してくるのでエンジェルは焦り気味。目の前の女性はエンジェルに腹を立てており「なんもいうことありません!」と帰っていった。エンジェルはがっくし。

ドークスは銃の達人で殺人容疑者のカーティスを追っていて、彼を知る人物に接触しにいくという。ヤバい雰囲気だが、バックアップはナシ。密会場所はボートである。そこにカーティスの友人が現れるはずだったのが、なんとカーティス本人が現れた。

カーティスは妻を殺して逃走した後、ドークスが自分を追っていると知った。調べてみると自分と同類だとわかった。共通の知人も多い。だからドークスだったら昔のよしみで助けてくれるんじゃないかと考えて、そのチャンスに賭けてみたということなのだった。彼はドークスに「キューバに逃げる段取りだから48時間だけ捜査を引き延ばしてくれ」と頼んた。ドークスは武士のような男なので義理堅いけれども、また同時に犯罪者を許さない男でもある。「妻を殺したのか」と単刀直入に聞いたら、相手は自白した。こうなったらドークスはドークスなので銃を向けて降伏せよと命じた。相手も銃を出して構えた。ガンマン同士の決闘みたいです。

マイアミメトロ警察。デブラはランディに会ったので、昨夜のアレを報告した。「アドバイス通りにヤッちゃいました。ジムでナンパして "Got laid big-time." でーす」と明るく報告したら、おじさんは「さいきんの若いもんは〜」という顔になったが、彼は文句もいわずに「私のデートは散々だった」と嘆いてみせた。「そりゃお疲れでした」「いや、かえってそれでよかったの。デートすべきじゃないって思いだしたから」「そんなことないでしょ?」。ランディは不思議がるデブラにこのひとことを与えた↓

A really beautiful relationship is a once-in-a-lifetime thing.

この世で本当に美しい関係は生涯でたったひとつなのさ。

ランディはそういって極上中年スマイルをした。デブラはヤラレタ〜ってかんじで黙り込んだ。このオッサン、やるなー。ランディ、いいですよ!女性部下の扱いに悩んでる方はお手本にしてください。そもそもランディのほうがデートしてこいっていったんですけどね。エッチしろといわなかったですが。

こちらはデクスター。デブラに聞いた藻の話をマスウカにぶつけてみた。マスウカは自信たっぷりでそれを説明した。バイオロジストの専門家に徹底的に調べてもらうんだという話を聞いてたら、パスカルがマスウカを呼んだ。彼女はヒステリックにマスウカを呼びつけると「これの匂いを調べてくれっていったでしょ!なによこの報告書!」とブチ切れちゃって、完全に壊れた女状態。それを見ちゃった警官たちはドンビキである。デクスターもそれを見た。そしてこう思った↓

This is the kind of thing that makes me glad I have no feelings. Like they always say, never take your dirty laundry to work.

ああいうのを見ると、ぼくって冷淡な人間でよかったなと思う。みんな知ってることだけど、職場に洗濯物を持ち込んじゃいけないよね。

その頃、ドークスは銃の達人を相手にガンマン対決中。敵はこういう。「おれたちレンジャー同士だろ。なにも感じないのか」。ドークスはこう答える。「だからこそ殺したくないさ」。お互い頑固なふたりは譲歩する余地ナシ。ドークスは彼を射殺するしかなかった。ズドン。2発の弾丸が正確に胸にブチ込まれた。犯人は死亡。

デクスター。ライラとカフェで会った。リタにいわれた通りにスポンサーを変えようと思って彼女にそういった。「わるいが君とはこれまでです」とはっきり述べた。ライラは「えー、わたしと別れるの?」と答えた。ライラは口がうまいなー。この言い方はなんだか恋人の別れ話みたいである。こんなふうに返されちゃうと「わたしたちは恋人のように深い関係であった」という前提で話が進んでいってしまうわけだから、こりゃまた巧みな誘導尋問みたいです。こちらも勉強になるなぁ。デクスターは押され気味であり「もう話すことはありません。サヨナラ」と述べて、逃げるように去るのであった。

マシューズはついにパスカルをカット。あれだけの醜態をさらしたのであるからまともな判断といえよう。そしてラグエルタが以前のポジションに戻った。彼はラグエルタにこう述べた。「君を誤解していた。君は政治プレイ好きだと勘違いしてたよ。刑事バカっていうタイプだな」という言葉はラグエルタをいい気分にさせた。「それさえわかってくれりゃいい」と立ち上がって、ふたりは握手した。「パスカルによって失われた女性の信用をおまえが取り戻せ」。ラグエルタは異存ナシである。スカッときもちを切り替えてビッグママ復帰である。

デクスター。外に出てきて巨大モルグテントを眺めてタメイキ中。「コイツはぼくの白鯨、モビイディックだな」と考えてたら、隣にエンジェル。「まったく暑いな。こりゃたまらんな」とぐったりである。彼は捜査がうまくいってないので腐っているのであろう。「暑い」って言葉を聞いたデクスターはなにやら閃いた模様です。

Which is exactly what needs to happen to my dearly departed friends.

過去の親愛なる友人たち(死体のこと)に必要なのは ... これだな!

デクスターはなにか思いついたようすで自分のクルマのところにいったらライラが待ち伏せしていた。彼女はデクスターにダメ出しされたことが不服で、もういちどいっしょにやろうと説得しにきたのである。デクスターが拒否しても粘る粘る。「善も悪もないのである。あなたはなにを怖れているのだ。自分はモンスターだからだれにも救えない?そう決めつけてるだろ。そういう悲観的な考えがよくない。わたしは胸が張り裂ける」なんていう。デクスターは「世の中に絶対的な悪がいないと本当に思うのか。それなら見せてやるわ。ついてこい」といって、モルグテントに案内した。そしてグロテスクな死体を見せてやった。

デクスターは彼女が卒倒するかと思ってそこに連れていったんだけど、ライラの反応は意外なものであった。死体を見るなり「ワーオ」と驚嘆し「触ってもいいの?」なんていって、顔を近づけて興味津々に観察し始めた。「こんなの初めて見た。すごいね!」と昂奮ぎみであり、最後にいった台詞はじつに彼女らしいものだった。

The person who did this ... is a person just like me, like you. We're all good, dexter. And we're all evil.

これをやった犯人はわたしやあなたみたいな普通の人間なんだよネ。すべての人間は善である。と同時にすべての人間は悪である。

この台詞を聞いたデクスターは戦慄した。目の前の女性はこれまでのどんなタイプとも異質である。彼女はやすやすと本質を見抜く眼力がある。この女性の前でドアをバタンと閉じることはできないのだ。

デクスターはライラと交わることによって、まるで自分が解剖されていくようなきもちになる。それは恐怖であると同時に、自己が解放されていくようでもある。この緻密な心理描写はこのドラマ独特の見応えがあるぶぶんだ。そしてそれと平行して、フラッシュバックシーンでは、デクスターの少年時代の記憶が蘇る。

デクスターの異常さに感づいた母親が、ハリィに「あの子に心理テストを受けさせよう」と提案した。これは逃げられないので、ハリィは子供にもわかる切り抜けワザを伝授した。「すべての質問に反対の答えをしろ」である。イエスと思ったらノー、ノーと思ったらイエスと答えなさいと教えたのである。デクスターは心理学者にたくさん質問をされた。「先生に命じられると腹が立つか?」「倦怠感に襲われるときはあるか?」「動物を殺したことあるか?」なんていう質問に対して、ぜんぶ自分の考えの反対を答えた。それでピンチを切り抜けた。ハリィは喜んで息子を褒めた。でもデクスターはあまりうれしくなさそうである。「別人になったフリをしただけだよ」「それが効いたんだ。それをずっと続けろ。そしたら誰にもモンスターの一面を知られない」。ハリィは喜びすぎてひとこと余計なことをいっちゃった。『モンスター』って言葉にデクスター少年は凹んだ。という少年時代の苦い体験が明かされた。

デクスターとライラ。外に出ていた。ふたりの議論は既に済んでおり、デクスターの負けである。ライラはそれを知ってるからくどくどいわない。ただこういった。「さーてデクスター、また会える?」と聞かれたデクスターは次のように答えるしかないのであった↓

「うん」

ライラは満足げであり、優しく彼を抱きしめた。そしてチュッとキスをして去っていった。完全にヤラレちゃってます。

エンジェル。未亡人の家を訪問した。相手は「まだなんか用か」と不満そうに出てきた。エンジェルは真摯に謝罪を述べた。「あなたのご主人の思い出を汚してしまってごめんなさい。わたしはあのおびただしい死体を見て、こんなふうにむごい殺され方をするにはなにかの報いを受けたのに違いないと思い込んでしまったのです。彼らはわるいことをしたからこうなったと思い込んでしまったのです。その考えをあなたに押しつけるべきではありませんでした」と述べて帰ろうとした。そしたら女性は「わたしの主人は銃を隠していました」と告白してくれた。

謝ったら許してくれてしゃべってくれたというだけのシーンだが、エンジェルが演じるとなんだかこう深みがあるというか、じわーんとしちゃうからフシギです。彼は『善のカタマリ』ってかんじのキャラですね。

夜。デクスターは自分の職場であるマイアミメトロ警察の敷地に侵入。巨大テントモルグの外壁に設置された冷蔵空調設備を破壊工作した。さらにゴミ収集トラックがバックしてぶつかったように見える工作をした。なるほどー。こりゃまた大胆。

デブラ。ジムでガブリエルにまた会った。ふたりはこんどは服を着て普通のデートをしようってことで話がまとまった。こんどのカレシはだいじょうぶなんでしょうか。これでまた?!なんてことになったら、まぢに立ち直れませんよね。ドラマ的にはおもしろいですが。

ラグエルタの秘密が明かされた。彼女はなんとパスカルのフィアンセとデキていたんである。ウハ。こちらもウルトラCの大胆ワザ。哀れなのは相手の男である。「ヤッタ!エズメがいなくなったから、これでおれたちオープンにつきあえるね」と喜んでいたが「あんたは彼女のとこに戻りなさい」といわれて利用されたことに気づいた。ラグエルタはかなりビッチなやり方でパスカルを引きずり落としたわけだが、彼女自身、罪悪感がないということはないようだ。自分がやったことを恥ずかしいと思っているみたい。それだけボスの座に戻りたかったということか。という点が暴露された後にマシューズの「おまえは政治には興味ないんだな」という言葉を思いだすと笑えてくる。マシューズがラグエルタを理解する日は永遠にこないんじゃないかって気がする。

翌朝。デクスターはリタにライラのことを報告した。「やっぱりライラにお世話になろうと思う。彼女はブッとんだところがあるけど、ぼくに合ってるってことがわかった」と聞いたリタは複雑な心中をひた隠しにして「あなたのためになるならいいわ」と答えた。

リタ母とコディがきた。デクスターはコディの遊び相手になって、ハッピームードの食卓である。リタ母が娘のボーイフレンドについて感想を述べる。「彼はいいひとだわね」「ええ、もちろん」とここまではよかったんだけど、次の母親の台詞はギョギョギョである。「大した役者だこと。彼はぜったいなにかを隠しているわよ。わたしのカンは当たる」

マイアミメトロ警察にバイオロジストの専門家が到着。マスウカとランディが彼をテントに案内した。3人が入るとものすごい腐敗臭。ゲゲゲゲゲ。死体はすべて腐敗して証拠はぜんぶパーになった。作戦成功。

デクスターはその後マスウカから「ぜんぶパーだよー。ゴミ収集トラックめ。くそォ」と聞いて心中ニンマリだが「そりゃひどい」と同情してみせた。そしたら意外なことをいわれた。死体袋の中にあった石、重し代わりに使われた石だけは別のところに置いといたんだという。そっちは腐ってないから、予定通りバイオロジストの分析に回される。その結果が出れば、ベイ・ハーバー・ブッチャーのボートの停泊場所がわかるそうで、1週間後に分析結果が出るという。ひぃいいいいい。一難去ってまた一難。

また来週〜。

※感想

オモシロイ!たくさん見どころがあったと思いますが、私はやっぱりシーズン2の目玉キャラのライラに大注目です。彼女の切り込むような言葉はじつに鋭利。彼女はすべてを知った上で近づいたのか。かつてのブライアン・モサのように。あるいはこの先、デクスターの素顔を知って驚嘆する日がくるんでしょうか。お楽しみ。

ところでデクスターはリタが心配していることを知ってるんでしょうか。それともまったく気づいてないの?どちらにも見えますよね。みなさんはどっちに見えますか。

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