ミック（Mick St. John）はヴァンパイアで、私立探偵である。彼は無実な人を襲ったりしないというモラルのあるヴァンパイアである。彼によれば、ヴァンパイアていう生き物は彼だけじゃなくて、いまも何人か生息していて、一般人にまぎれて暮らしているそうだ。ちなみにミックはガーリックもオッケーだし、おひさまの下を歩いてもだいじょうぶである。おひさまを好きではないが、それでいきなりジュワーと死ぬということもない。

LAでいかにもヴァンパイアがやったと思われる殺人事件が起きた。被害者女性のクビに歯形がクッキリ。大量の血液が失われていた。事件に興味を覚えたミックは独自調査を開始する。調査をしてる途中で、ベスっていう女性に出会う。彼女はジャーナリストであり、ニュース系ウェブサイトのキャスターである。好奇心旺盛な彼女はミックに会うたび「あなたとは初めて会った気がしない」と何度も思うんだが、でも彼女はどこで会ったか思い出せないんだが、じつは大昔にミックが子供だった彼女をヴァンパイアの手から救ったことがあるという関係なのだと間もなく明かされていく。

さて、殺人事件だが、これはヴァンパイアの仕業でなく、ヴァンパイア伝説に興味を覚えた研究者が秘かに地下のボイラー室に学生を集めてカルトのような勉強会をやってて、そいつがヴァンパイア事件を捏造したのであった。

※感想

ヴァンパイアものということでものすごく期待したんだけどだめだこりゃ！てかんじでどうしようか迷ったが、まぁ3話くらいは見てみるかと思い、カテゴリをつくりましたです。

『ヴァンパイア』ていうテーマは私にとって大きな意味を持つ。単に『血を吸う不死のモンスター』というだけじゃヴァンパイアとはいえないのだ。ヴァンパイアはこうあるべきである by 私↓

• ヴァンパイアは死の匂いがする
• ヴァンパイアはスタイリッシュである
• ヴァンパイアはsexyである

ヴァンパイアと名乗るからにはこの3点をぜったいに押さえてほしい。古くはノスフェラトゥやクリストファー・リーのドラキュラ映画が鮮烈だったヴァンパイアは人々を恐怖のドン底に陥れた黒死病（ペスト）の象徴であり、邪悪さと死の象徴なのだ。この古典テーマに固執するホラーファンがブレイドやアンダーワールドをスムーズに受け入れたのは、上に挙げた様式美をきちんと踏襲していたからだと思う。『スタイリッシュで／セクシーなモンスター』ていうところをきちんとふまえていたから、ヴァンパイアが銃を撃ったりオートバイに乗っていても「これまたカッコイイ〜」と私は（たぶんみなさんも）納得したのだと思う。身も心も凍っちゃうような邪悪さなんだけど目を奪われるくらいに美しいみたいな。すべての生き物を死滅させるほどに過酷な自然環境なんだけどオーロラが限りなく美しいみたいな。そういうのが見たいの！

でもMoonlightのヴァンパイアはぜんぜんセクシーじゃないし、死の様式美が感じられない。ヴァンパイアのオーラがない。モダンなインテリアでグラスに血液をゴクンと飲むというシーンにゾゾゾ感がない。

と思っちゃったんですけど、そう思う反面、私は頭が固すぎるのかもしれないという気もする。ヴァンパイアはこうあるべきだっちゅうのがナローすぎるのかも。1ミリの大きさのキャッチャーミットでボールをキャッチすることはできないというのもまた真実なので、何度か見てるうちに『私のヴァンパイア定義』をグリグリ広げてもらえるかもしれないので老化防止のためにもう少し見続けることにしました。アンダーワールドのソフィア・マイルズが出てることだし、今後に期待！