date: 1/07 20:04
マスターズ・オブ・ホラーのシーズン2の8話はクライブ・バーカー原作のエロティックホラー。ディレクションはMick Garris。
作家の卵のロブはちょっと変わったアパートに引っ越した。ここは彼と同じ作家の卵ばかりが住んでいる。っていうとリベラルなアーティスト村みたいな雰囲気を想像するが、じっさいは敗残者の吹き溜まりというか、限りなく無理な夢の残滓を引きずっている自称作家ばかりが住んでいるといった無惨なありさまで、恐らく各人は自分だけは違うと思い込んでいるんだろう。その点ではロブも似たようなもんかもしれないが、とりあえず彼は書きたいわけだし、ここは静かに作品づくりに没頭できる環境であるからして彼は満足なのだ。
ところが、せっかく静かに作品が書けると思ったら彼はありえない美少女のゴーストに惑わされる。名前はヴァレリー。全裸で透き通るような肌の美少女ゴーストはモンスターに囚われている。彼女は「タスケテ!」というが、そのくせモンスターとのsexにとり憑かれているのではないかと思えるフシもあったりする。
ロブはこのアパートが呪われてるんじゃないかと思って、変人ぞろいの住民の中でいちばんマシそうに見える男を捕まえて話を聞く。彼は「ヴァレリーなんて知らないよ」というが、彼の原稿をちらりと見たらば「ひみつの原稿」というのがあって題名は "Valerie On The Stairs(『階上のヴァレリー』)"。
男は秘密の原稿を見られたと知ったら狂ったようにロブに殴りかかってきた。彼はその後ヴァレリーに出会い、そしてモンスターに殺された。そして他の住民たちも狙われる。どうやらこのアパートの住民たちがイカレた小説を書いてヴァレリーと悪魔を作り出しちゃったらしいのだ。
※感想
うぅむ。なんかあんまりネタバレを書く気がしない。アパート住民の1人の老小説家役のChristopher Lloydのぢぢい顔とか、美少女ゴースト役のClare Grantの刹那の表情とか、暗ーくて吹き溜まりみたいなアパートの雰囲気とか、グロいシーンはそれなりにギョッとするし、良い部分はいっぱいあるんだけど、なんだかパッとしない!Mick Garrisの作品はいつもなにかが足りないと感じてしまう。私と相性が合わないのかも。好きな人、ゴメンナサイ。
クライブ・バーカーは文字の魔術師ともいえるホラー小説家で、彼の文章は多義的幻視的であり、痛みと背徳とエロティシズムに満ちている。彼の作品を読んでいると脳内に舞台ができあがって神経に直接響くような立体感がある。「歯に染みる」という言い方があるけど「脳に染みる」ってかんじの文学だと思う。彼の作品を映像化しようとしたらば、作り手の意図でいかようにもつくれちゃうわけで、ディレクションのセンスがすごく問われるのではないか。Mick Garrisの意図したバーカーワールドは私にはグッとこなかったです。と思っちゃったのですが、これはいいよーという方がいたらご遠慮なく感想をお聞かせください。
もしかしたら、小説家が題材になってる小説が原作なので、台詞とか原稿の文章なんかがものすごく凝ってて、英語圏の人にはわかるようなゾゾゾなシカケがあったのかもしれない。私程度の英語力ではそこらへんまでは汲み取れなかったのかもしれない。
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title: 2-08 :: Valerie on the Stairs
aired date: 2006/12/29
Writer: Mick Garris
Director: Mick Garris
Story:
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