今日は社員証の写真を撮る日なので、写真屋さんがやってきた。みんなはおめかしそわそわ。マイケルも散髪にいってきた。彼はライアンの新調したネクタイを見て「これちょっと貸して」なんて取り上げようとしてたら、会議室からオスカーの怒鳴り声が聞こえて「ナニゴトか〜」といってみたらばトビィと "vent out" の最中だった。"vent out" っていうのは「不満を吐き出す」っていう意味なんだけど、これは少し説明を要する。

トビィはみんなと立場が違う。彼は本社直属の人事部に属していて、指揮系統上、マイケルの部下ではない。彼は社員たちの不正を監視したり、社員間の揉め事を仲裁したりなんていう仕事をしている。トビィの監視対象にはマイケルも含まれていて、イザとなれば、マイケルの社用クレジットカードを差し止めたりなんてこともできちゃう。彼は本社の上司と直通で、いわばスパイが1人いるようなもんなので、マイケルはいつも彼を煙たがっている。

そのトビィが定期的に行っているのがこの "vent out" で、社員がだれかに腹を立てたとき、トビィに文句を言いまくってそれですっきりするというカウンセリングをやっていたのだ。オスカーはアンジェラが貼ってるポスターのデザインは「子供を虐待してる絵だ」っていってて、それが大嫌いで、そのことをトビィにブチまけていた。

マイケルはオスカーとアンジェラの双方の意見を聞いて仲裁に乗り出す。これをきっかけに彼はトビィから「みんなの不満の声」ファイルをムリヤリに取り上げちゃうのだ。この中にはありとあらゆる私怨が詰まっていて、まさにパンドラの箱である。これがマイケルの手に渡ったからさぁたいへん。トビィは人事部の人間らしく、それらのファイルをランク分けして秘密裏に処理していたのだが、マイケルはそのすべてを白日の下にさらけ出す。カオス・イズ・カミング〜。

※感想

このエピソードの笑いは痛点ギリギリまできてる。スゴい。人間だれでもゲロを吐く。人々はゲロを吐いてからそれを拭き取ってマジックリンでピカピカにしてしまおうとする。そしてそれをなかったことにしようとする。トビィのファイルはみんなのゲロファイルだ。他人には知られたくない負の秘密がいっぱい詰まっていて、彼はそれを後生大事に隠し持っていた。マイケルはそのゲロを皆の前にブチまけて「さぁどうだ」と問いかける。おれがゲロならおまえもゲロだといってるようなものではないか。

最後のマイケルのナレーションで、彼は自分とトビィのやり方の違いについて述べている。でもじつをいうと、トビィは「マイケルに対するみんなの不満の声」は別ファイルにしていて、彼には渡さなかったのだ。つまりマイケルはトビィに救われたってことにまったく気づいてなくて、つまり、彼は自分に対する不満がひとつもなかったことにはまったく疑いを持ってないんだ。つくづくカッ飛んだ男だといわざるを得ない。

以下ネタバレです↓

以下ネタバレです↓

ドワイトはここぞとばかりに、これまで自分がジムに受けたたくさんのイタズラを言い立てて、なんと「ジムをクビにしろ」という。んで最後の方では、ジムが本社のジェンに会いにいくシーンがある。彼は異動を申し立てたってことか。えーーー！

ラストのマイケルがよかったよ。マイケルがトビィのファイルを派手にブチまけたので、オフィスの空気は最悪になった。マイケルのガハハギャグで場の空気が凍りつくことはしょっちゅうだけれど、今回のはそんなもんじゃない。もっと重苦しくて、誰もがウンザリだと思っている。いくら無神経なマイケルでも今回はいつもと違うなくらいは気づいたハズだ。

帰ろうとする写真屋をマイケルがつかまえて集合写真を撮ってくれっていうんだ。そしてみんなを集めて写真を撮るんだけど、みんなイヤーな顔になっちゃってる。マイケルは「もう1枚撮ってくれ」という。写真屋は撮り直すごとに20ドルだという。彼は何度も何度も20ドル払って撮り直しを命じるのだ。でもいつまで経ってもみんなの顔は変わらない。んで、最後にどうしてもみんなの顔がこわばってるから最後のワザ、フォトショップで写真を修整させるというオチはなんちゅーかじつにまったくザッツマイケルだ。

とまァ今回はかなり重いテーマだったが、小ネタの数々はいつも通りに冴えている。私的にはクリードの横座りがかなりウケた。

------------------------------------------------------
2-21 :: Conflict Resolution
aired date: 05/04/2006
Writer: Greg Daniels
Director: Charles McDougall