シーズン3の13話（3-13 :: The Man From Tallahassee）のラストで、潜水艦をボムしたロックはベンに案内されて実の父親、アンソニー・クーパーと驚きの対面をしたが、その続きとなるエピソード。

今週はフラッシュバックはなし。アザーズの一員になったかと思われたロックがビーチに戻り、夜になってこっそりソイヤーに声をかけた。驚くソイヤーに「おれはアザーズに寝返ったわけではない。ヤツラをスパイしてたのだよ。ベンをひっつかまえて閉じ込めてあるからいっしょにこい。おまえがベンを殺せ」なんていう。

彼の態度はなんだか怪しいが、なぜそうなったのかというのが徐々に明かされていく。時系列が過去／現在と変わりつつ進んでいくというパターンだが、その通りに書いていくと冗長になりそうなので要点だけをまとめて書きます。

8日前。ロックは父と再会した。アザーズがさらってきたのかと思ったらそうではなくて「ロックが彼を連れてきたんだ」と謎めいたことをベンはいう。アンソニー・クーパー（偽名のひとつだがとりあえずこう呼ぶ）はジョンを見て怯え、「ジョン、ここがどこだか知らないのか！」と叫ぶ。このとき彼の言葉を遮るようにトムがドアをバタンと閉めたように見えた。

ロックはベンと合意してアザーズの一員となった。彼らはケイトたちを残して村を捨てたが、その後、別の場所に移動。ベンは「そこは新しい場所だけど、古い場所でもある」と述べた。過去に住んでいたところという意味かな。彼らは草原でキャンプ中。みんなはロックをこころよく受け入れている。『島にきて足が治った奇跡の男』という触れ込みにものすごく期待しているようだ。彼は『特別な』男だと思われているのである。ベンはロックと共に過ごして以来、足に神経が戻ってきたといって杖で歩き始めた。18話（3-18 :: D.O.C.）でジュリエットが残したボイスレコーダーのメッセージをベンが聞くシーンがある。ロックもそれを聞いた。ベンは妊婦をさらう計画があることを彼に話した。

アンソニー・クーパーは囚人のような扱いで、屋外に縛られてサラシモノとなっている。ベンはロックを呼んで「彼を殺せ」と命じる。それが仲間入りの儀式であるように。「過去をたちきれ」といわれるが、ロックはナイフを刺すことができなかった。というようすをアザーズたちがぢっと見ている。ロックができないことを知ったベンは、集まったみんなに「彼は我々が期待したような男ではなかった」と落胆の気持ちを表した。

翌日。リチャード（ベンの片腕で、ジュリエットをヘッドハントした男）がロックに声をかけた。「ベンはわざと皆の前で君に恥をかかせたのだ。なぜなら君のように『特別な』存在は彼にとって邪魔だからである。ベンよりも君の方がリーダーにふさわしい。そのためにはやっぱり君の父には消えてもらわねばならない。どうしてもできないというのなら他の人間にやらせるという手もある」とヨイショするようなことをいって、ソイヤーのファイルを渡した。「どうしてソイヤーが？」と不思議がるロックに「読めばわかる」と言い残してリチャードは去った。

翌日。アザーズたちは移動を開始するがロックは連れていってもらえない。「父の始末をしたら仲間に入れてやる」という。ベンは急に冷淡になり「後からついてこれるようにしてやる。ヤツの死体を背負ってこいよな」と言い残して去った。

ロックはリチャードに渡された資料を読み、ソイヤーと自分の父親の接点を知る。ここでおさらい。ソイヤーが幼少の頃、ソイヤーの母親は『ソイヤー』という名前の詐欺師にハメられて全財産を取られ、それを知って逆上したソイヤーの父は子供の前で母を射殺、自分もその場で自殺した。という悲劇トラウマを経ていまのジェイムズがあるわけだが、以来、彼は詐欺師『ソイヤー』への恨みを忘れていない。自らソイヤーと名乗り、Dear Sawyerで始まる手紙をいつか渡して決着をつけてやろうと思っているのだ。彼の半生を詳しくおさらいしたいひとは以下のエピを見直してみよう↓

1-08 :: Confidence man
1-16 :: Outlaws
2-13 :: The Long Con
3-04 :: Every Man for Himself

てわけで、ここから冒頭シーンにつながる。ロックはソイヤーをおびき出して自分の父とソイヤーを対面させる。場所は古い船の残骸の中だ。中にはガイコツがあってロックは「19世紀の奴隷船だろう」と述べた。だまされて連れてこられたソイヤーは相手が見知らぬ中年男と知って怒り爆発だが、やがてこの男が宿敵『ソイヤー』だと知る。そして、ロックの、リチャードの、恐らくはベンの思惑通りに彼を殺した。チェーンで絞殺。殺した後、表に出てゲロを吐いた。

このときの会話で、ソイヤーが「どうやってこの島にたどりついたんだ？」と尋ねたら、相手は「ここが島だって！？ハハハ」と笑い飛ばし、自分は交通事故に遭って救急車に乗ったと思ったら、目がさめたら死んだはずの息子が目の前にいたんだといい「天国にしてはちょっと暑いネ」なんていうのが気味悪い。彼はロックのことをソイヤーにアレコレ語るんだが、その中で飛行機は海に落ちて乗客は全員死んだと断言する。これはこの下に書いた空から落ちてきたパラシュート女の話と一致する。

また、ソイヤーと詐欺師が話し込んでいる間、その場所にダニエル・ルソーが現れて、ロックと出会うシーンがあった。彼女は「ダイナマイトをとりにきた」といい、ロックは「気をつけてネ」なんて答えて、ルソーは箱を運びだしていった。待ち合わせしたふうでない。まるでコンビ二で偶然出会った知人同士という調子の会話であった。

ソイヤーが『ソイヤー』を殺した後、2人は別々の道に行く。ロックは別れ際に「ジュリエットはベンがよこしたスパイである。彼女はビーチの女性たちの中に妊娠してる者がいるか調べているんだ。いまから3日後にビーチは襲われるだろう。ベンはだれも傷つけないといっていたが」と情報を与えた。「んでおまえはまた潜入スパイに戻るのか？」「潜入スパイっていうのはウソなんだ。ぼくはいまひとりで旅をしている。ビーチに帰ったらみんなに警告してやれ」「ジュリエットがスパイだとだれも信じないだろう」「これをもってけ」と言って、ロックはボイスレコーダーをソイヤーに渡した。

別れ際、ソイヤーは「あれは本当か？」と尋ねた。「ナニが？」「窓から突き落とされて車イス生活だった？」「いまはちがう」ロックスマイルを残して彼は消えた。死体を背負ってひとりで移動開始。死体をオミヤゲにアザーズに合流する予定（たぶん）。ソイヤーはビーチに戻っていった。

というお話の合間に、空から落ちてきた謎の女のほうもお話が進みます。

空から降ってきた謎の女

謎のパラシュート女性の名前はナオミという（発音はネィオミってかんじなのだけど）。デズモンドたちは彼女をビーチに連れ帰ったが、ジャックにはナイショにしている。みんなはジャックを疑っているのだ。彼女の存在をジャックに知らせたらアザーズに情報が漏れるかもしれない。てわけで、サイードだけにこっそり教えて彼女から知ってることを聞きだした。

彼女はデズモンドの恋人のペニーが雇った私設捜索チームのひとりだという。彼女によれば、815便の墜落機の残骸がバリ島沖の海で発見された。それは4マイルの深さの海中にあって、潜水ロボットで捜索したらば、機体の中には全員の死体があったという。という話にみんなは寒気がした。

捜索チームはここに島があることを知らなかった。ペニーはGPS座標値だけを渡したという。彼らはその一帯を捜索した。海しかないと思ったら、雲の切れ目から急に陸地が見えて、そしたらヘリの調子が悪くなった。計器が狂いだして操縦できなくなり、緊急降下した。という話だが、彼女の乗ったヘリの残骸は確認されていない。海に落ちたので。

サイードは彼女の持っていた衛星電話をいぢくり回す。壊れてるんだけど直らないかなぁ。と思ったら、それをケイトに見られた。彼女にもナオミのことを話した。ケイトは迷いつつもジャックにそれを話した。ジュリエットとベタベタしてるジャックを捕まえて「2人だけで話がある」といったら「ジュリエットに秘密はなしだ」というので、仕方なく彼女の前でぜんぶ教えてやった。「みんなあなたのことを信じていないのだ。この女のせいだ」といってやった。横にいたジュリエットはそれを聞き流して「フーン」なんて顔をしてるので憎たらしィ。ジュリエットはジャックに「彼女にあのことを話すべきだわ」なんて謎めいたことをいう。ケイトは「なんだなんだ」と問いただすが、ジャックは「いまはまだ話せない」なんてコソコソしてるのでケイトはますますムカムカする。こんどはジャックが脱臼するんじゃないかと思ったが、そういうシーンはなかった。2人はいったいなにを隠しているんだろう。

このときのケイトの台詞で、ナオミの捜索チームの船が沖合80マイルの地点に停泊しており、それと連絡が取れればレスキューがきてくれるのだと明かされた。ジュリエットは大して驚いたようすでもないのですべて知ってるんだろうか。

title: 3-19 :: The Brig
aired date: 2007/05/02
Writer: Damon Lindelof, Carlton Cuse
Director: Eric Laneuville