謹厳実直家族想いの善良男がドカンと交通事故で死亡した。あーあー。残された奥さんとふたりの子供は絶望。と思ったら、彼は生きていた。目が覚めたら刑務所の病院。「家族にあわせてください」と頼んだら「おまえには家族なんかいないだろ」といわれてこづき回される。ナンじゃコレと思ったら、彼は別人になっていた。

世にも稀な凶悪シリアルキラーと体が入れ替わっちゃったのである。12歳で自分の家族を皆殺しにするという華麗なデヴューを飾った後は、続々と殺人を重ねた真性サイコパスシリアルキラー。接見に現れた弁護士に自分が犯したという罪の履歴を聞かされて青くなった。「ちがうちがう」といっても信じてもらえず、看守にいたぶられる日々。なんでこんなことになっちゃったんだよう。

善良男と同じ日に死んだシリアルキラーの方は、目が覚めたらきれいな奥さんとかわいい子供が待っていた。こりゃまたラッキーと善良男になりすますことにした。なんとかボロがでないように善人を演じるが、やっぱりなかなかむずかしい。この場合、体が入れ替わったというだけで、本人の記憶はそのままである。だから、友人や家族にへんに思われないようにいろいろと気を遣って疲れちゃう。

善良男は刑務所にいて裁判を待つ身だが、そこに幸運サイコパス男が面会にくるようになった。「仕事のやり方なんかを教えてくれヨ」と頼みにきたのである。「その代わりにあんたの家族はおれがめんどうみるぜ。まぁ、あきらめるこった」といわれた善良男は頭にくるけどなんともならない。サイコパスのほうはのんきなものであり「こんど子供のビデオを持ってきてやるからがまんしろ」なんていう。キーーッ！

たったひとりの味方である弁護士に「お願いだから」と頼んで、自分や家族のことをたくさん教えた。そのひとじゃなければわからないようなことを教えて「だからわたしはこっちなの！」と説得しようとしたんだけど、弁護士は犯罪者が本人だと名乗る人物がときどき面会にきてることを知ったので「友達だから知ってるのだろう」といわれておしまい。

善良男が刑務所で看守にいぢめられてるあいだ、幸運サイコパス男はノホホンと暮していたが、やっぱりサイコパスなのでボロがでてしまう。妻と子供たちは、優しかったパパが、事故以来、ガサツ乱暴男に変わってしまったことにショックを受けた。家庭の中から笑顔が消えてしまった。徐々にサイコパスの本性が出てきたぞおお。彼はだんだんめんどくさくなってきちゃったんだな。

サイコパスは面会にも行かなくなった。善良男のほうは心配でたまらない。刑務所のえらいさんに「死体を埋めた場所を教えたら終身刑で済むかも」といわれ続けてたんだけど、そんなの知ったこっちゃないから「ちがうの！」と言い続けてきたんだけど、彼は自分が塀の外に出れるチャンスはコレしかないと強攻策に出た。「死体を埋めた場所に案内する」と嘘をついて外に出た。警備をブン殴って必死の逃走。

大急ぎで家にいってみたら、自分になりすましたサイコパス男を発見。格闘の末、首を絞めて殺した。そこにポリスが突入。問答無用で射殺された。と思ったら、自分の名を呼ぶ声で目が醒めた。ほんとうの名前で呼んでくれるその声を聞いたら、涙があふれるほどにサンクスゴッドである。気がつくとここはさっきの格闘現場である。隣にはサイコパス男の射殺死体があった。さっき殺したと思ったが、殺してなかったんだな。気絶してるあいだに肉体が元に戻ったということか。

やったぜえええええ！とガッツポーズをカマしたら、家族の元に一直線。と、ところが、階段を駆け上ったら制服警官に制止された。「見ないほうがよい」といわれてががががががーーーーーん。部屋の中には妻の惨殺死体。子供たちは... 子供たちも... 殺されちゃったのかぁと思ったら「生存者、発見！！」という警官の声がする。おおおおおおと駆けつけたら末の娘が怯えた顔で警官に保護されていた。おまえは助かったのか！

警官が幼い娘に質問した。「あなたのママたちをこんな目に遭わせたのはだれなの？」と聞かれた娘はめんたまがとびでそうな顔になり、善良男を指差した。「ノーーーーーーーーーー！」

なかなかこりゃおもしろかったです。コリン・ファーガソンはナイスキャスティング。トワイライトゾーン風のミステリーホラーでした。